Hot Shot I-OHDF と FIR 併用による、下肢潰瘍治癒効果観察透析患者：透析患者症例報告

By Firapy Club • 04 Jun, 2025

Usefulness of Hot Shot Intermittent Infusion Online Hemodiafiltration Plus Far-Infrared Therapy for Dialysis Patients with Lower Extremity Arterial Disease: A case report

要旨 

【背景】

 下肢末梢動脈疾患（LEAD）は透析患者に高頻度に発症し、予後不良と関連している。近年、LEADを有する透析患者に対して、間歇的オンライン血液濾過透析（I-OHDF）とフィラピー（FIR）療法の併用が有用であることが報告されている。しかし、一部の症例では潰瘍や壊疽の改善を認めない症例をしばしば経験する。また、加温した透析液を間歇的に注入するHot shot I-OHDF（HS I-OHDF）は、従来のI-OHDFよりも血漿再充填率（PRR）や末梢循環の改善に有効であることが報告されている。そこで、I-OHDF+FIRからHS I-OHDF+FIRに変更し、下肢潰瘍が治癒した症例を経験したので、HS I-OHDF+FIRの有用性について報告する。

【症例】

患者に下肢潰瘍の悪化を認めた。HS I-OHDF+FIRに切り替えた後の下肢血流、PRR、創傷治癒は41歳、男性。LEAD透析患者で、I-OHDF+FIRからHS I-OHDF+FIRに切り替える前の程度、自覚症状の経時的変化を切り替え前の値と比較した。I-OHDF＋FIR時の値と比較すると、HS I-OHDF＋FIR時には下肢血流とPRRが顕著に増加した。下肢の創傷は、HS I-OHDF＋FIR中に経時的に改善し、6ヵ月後には完全に治癒した。VASによる評価では、0疲労感、疼痛、冷感、不眠のすべてのスコアが改善し、患者の自覚症状が改善した。HS I-OHDF＋FIRの創傷治癒促進効果の機序は不明であるが、間歇注入液の温度変化により真性毛細血管（休止血管）の血流が増加し、FIRの非温熱効果がより末梢血管に伝達されたものと推測された。

本症例は、HS I-OHDFとFIRの併用が、創傷治癒に有用な下肢血流とPRRを増加させることにより、LEADを有する透析患者におけるFIRの有効性を高めることができることを示している。